HUB-IBARAKI ART PROJECT 2017-2018

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HUB-IBARAKI ART PROJECT 2017-2018 開催概要

展示期間

2018年3月30日(金)〜9月30日(日)

作家

稲垣 元則

作品

《The Light》

プロジェクト内容

作品発表、トークイベントなど6種類のプログラムを実施

ディレクター

山本 正大(少年企画)

事務局

茨木市文化振興課

主催

アートを活用したまちづくり推進事業『HUB-IBARAKI ART』実行委員会

ごあいさつ

アートを活用したまちづくり推進事業「HUB-IBARAKI ART PROJECT」は、アートを活用した地域の芸術文化の発展に貢献することを目的としたアートプロジェクトです。
本年度の選定作家は美術家の稲垣元則氏です。本プロジェクトは、「公の場での展示」「長期展示」「まちや人との交流を持てるような作品の選定」を条件として作家・作品を選定、制作依頼しております。アートを媒介とし、人と人との対話が生まれることで、永続的な地域の活性化へ繋がるネットワークの中心「HUB」のような存在となることを目指します。これまで市役所を含めた複数の公共施設に展示を行ってきましたが、本年は公共施設を飛び出し「民間の店舗」を活用したアート作品を2018年3月30日(金)より展示いたします。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

—夜だけ現れるアート作品
本プロジェクトとしては、初めての「夜のみ」の公開展示。日没から日の出の間の夜間に作品を上映します。

—映像が変化する
映像は不定期に更新を行い、初回の連鎖した(強い意味づけや、物語性はありませんが)映像作品を制作し、上映を行います。

—185日間の長期展示
およそ6か月間の長期展示。いろいろなアートイベントの中でも、長期展示が本プロジェクトの特徴。期間中、展示作品・イベントを通して鑑賞者と交流します。

–暮らしの中でアートと出会える
「HUB-IBARAKI ART PROJECT」は鑑賞者と共に探求し、「宝物」を発見するようなアートプロジェクトです。
アート作品は「わからない」と言われることが多々ありますが、理解しづらいからこそ、時間をかけて楽しみ、探求しながらアートを感じとってもらう。そんなアートプロジェクトを目指しています。

—定期的なイベント『HUB MONTHLY EVENT』の開催
本プロジェクトで観覧者や参加者があらゆる視点から芸術文化に触れられる機会となるイベントを企画しています。トークイベントでは、茨木市の人びととの対話はもちろん、外部からアートによるまちづくりについての話を展開できるゲストを招き、アートとの触れ合いを設け、ワークショップで、実際に参加者とともに作品づくりの一端に触れるようなイベント内容を予定しています。

選定作家

稲垣 元則 [INAGAKI Motonori]

1971年京都市生まれ。1994年大阪芸術大学美術学科卒業。1992年よりドローイングを開始。以後、現在に到るまで、同一のサイズ・紙へのドローイングを日常的に継続。ドローイングの行為と考えをベースに、写真・映像作品を制作。事象の観察により、物事の背後や周辺にある存在を問いかける作品を制作。関西を中心に個展・グループ展にて多数発表。近年は各地のアートプロジェクト等にも参加。パブリックコレクション:東京オペラシティアートギャラリー、国立国際美術館

作家オフィシャルサイト 
http://motonoriinagaki.com/

稲垣 元則 インタビュー

Q. 今回の作品についてお聞かせください。
A. 2018年3月30日(金)から半年間、茨木市の店舗にて映像作品を展示します。日没から日の出の間の夜間に上映します。
映像作品は店舗内部から窓に貼ったスクリーンに投射し、通りを通行する歩行者などを鑑賞者の対象とします。
映像は不定期に更新を重ね、初回の上映から連鎖した(強い意味づけや、物語性はありませんが)映像作品を制作しながら上映を行います。半年間通して連鎖・更新する制作、市街地の店舗を使った夜間のみの展示という状況など、全てを通じて作品と考えています。ですので、3月30日(金)が作品の完成というよりは、作品の「始まり」と捉えています。

Q. 展示場所に「サワラギヤ(民間の店舗)」を希望された理由を教えてください。
A. 今回の作品プランとして、理想的な場所でした。当初予定していた公共施設を出て民間の店舗に踏み込むことは、行政が企画したアートプロジェクトとして完結するのではなく、まちとアートが関わることの大切な一歩ではないかと感じています。作品として成立させる条件として、ここは「市役所から駅までの目抜通り」に「活用を模索している場所」で「日常の中に不意に作品を出現させる」場所として、偶然すぎるほど理想の場所でした。この建物は通りの景色の流れの中にありながら、看板・装飾などの情報がとても少なく、作品のめざす完成されたかたちと、いつもの景色の中に異質感を生むことができるのではないかと考えました。

Q. 観覧者の対象はどのように考えていますか?
A. 本展示の特徴として、通りを通行する不特定多数の方々を対象とします。
茨木市内外の人々、頻繁に見る人々、一度だけの出会いの人々、様々なかたちで「不意に」作品に触れることを通して、まちなかアートのひとつのあり方を問いかけるような作品になる事を望んでいます。

Q. 夜のみ展示の理由をお聞かせください。
A. まず、不思議な感じがするからです。夜は「見えない場所」「知らない時間」を暗示します。その中で静かに作品は成立します。昼間とは違い作品に対峙する時の体験はどこか個人的であり、鑑賞者と親密で対話的な状況を作り出すことができればいいと思います。

Q. どのような映像作品が展示されますか?
A. 茨木市街地の店舗を使い、大きな窓3面に3つの映像が流れます。
映像には始まりも終わりもなく、数分のイメージがループ再生します。それは、ストーリーのない「動く絵画」のようです。
抽象的な自然のかたち、動き、色彩を扱ったものや、身体の抽象的な動きを扱ったものを映像のモチーフとします。匿名性のある映像は、一見違和感を感じながらも、誰もが持っているであろうイメージと重なっていくことで、叙景詩のようなものになればと考えています。繰り返しドローイングを描き重ねるように、映像は展示期間中制作し続け、次第に重層的な意味を持たせていきたいと考えています。一つの映像として完結することではなく、断片的・継続的・総合的にそれぞれで成り立つイメージや、期間中の作品変化、それと呼応するまちを行き交う鑑賞者の感受性の動きも含め、プロジェクト全体を「夜の上に描くドローイング」として捉えます。

Q. 「HUB-IBARAKI ART PROJECT」の長期展示(約6か月間)でチャレンジしてみたいことはありますか?
A. 作品の更新・継続と並行してイベントを定期的に行い、展示場所にて様々なゲストを招き交流し、様々な角度から作品・プロジェクトについてお話ができればと思います。期間中、多くの人と本作品・展示の意味、大きく言えばこのプロジェクト全体の意味を一緒に考えるような6か月にしたいと思っています。

開催プログラム

作品発表
稲垣元則《The Light》 作品展示

日時:3月30日(金)〜9月30日(日)夜間限定公開
会場:サワラギヤ(駅前4丁目2-31)

◇ 稲垣 元則《The Light / Sea》

展示期間:3月30日(金)〜5月29日(火)

はじめに茨木の市街地にはありえないイメージの映像を考えました。
日常の光景から大きくずれているもの、しかし表現としての主張が強いものではなく、どちらかといえばもっと自然に近いものです。
これはある海峡の海面を撮影した作品です。ここの海面はひと時、一筋縄ではいかないとても複雑な表情を見せます。海面が膨れ上がり、どちらにどう流れているのかわからない状態になります。ここで生まれる水の表情は複雑性の象徴とも言えるもののように思えました。
それは感情の複雑性、事象の複雑性、関係の複雑性など様々なもののメタファーとなっています。

◇ 稲垣 元則《The Light / Withered Flowers

展示期間:5月30日(水)〜7月27日(金)

春の終わりに枯れつつあるチューリップを撮影しました。満開に咲き誇っている状態を一つのピークと考えるなら、この作品は「その先」を描いていると言えるでしょう。私はなぜかそのような状態の方に惹かれるのです。

◇ 稲垣 元則《The Light / 18

展示期間:7月27日(金)〜9月12日(水)

2018年6月18日の日中に自宅スタジオの屋上で撮影しました。その日は雲天で吹く風のコンディションが良く、揺れ動く樹々の表情がいろいろなものを想像させてくれました。
しかし周りでは何機ものヘリコプターと町中の消防車のサイレンの音が鳴り響いていました。その日の朝、茨木市は大きな地震に遭いました。映像が少し揺れているのはその後に続いた余震によるものです。
街も我が家も様々な大きな被害がありました。この出来事を記録するためにこの作品を作った訳ではありませんが、制作中に起こった、簡単には修復できないこの出来事を静かに残すことにしました。

◇ 稲垣 元則《The Light / Drawing

展示期間:9月12日(水)〜9月30日(日)

私は27年間、同じ大きさのコピー用紙にドローイングを続けています。それは何かの下書きやアイデアのためではなく、ドローイングそのものが作品と捉えています。
ドローイングを通して体験していることが、私自身作家として考えていることの重要な根幹を成しています。それは大きなものでも小さなものでもありません。その日常的な行為としてのドローイングの姿を最後の映像にしました。
わかりやすく映像とドローイングを繋げているわけですが、実は私にとっては映像もドローイングであり、様々な人が街に入り、作品の前で立ち止まり、一つの感性を生み出し街を出る、というような現象そのものも私のドローイングなのです。

関連イベント

バトンタッチ・トークイベント「まちなか・アート・制作と展示」

日時|4月30日(月・祝)17:00-19:00
会場|サワラギヤ(駅前4丁目2-31)
ゲスト|中島 麦(美術家、HUB-IBARAKI ART PROJECT 2016-2017選定作家)

2016年度HUB選定作家である中島麦氏をゲストに招き「まちなか・アート・制作と展示」をテーマに、2017年度選定作家の稲垣元則氏とトークセッションをします。
前回の「HUB-IBARAKI ART PROJECT 2016-2017」では、中島麦氏によって茨木市内複数の公共施設内に作品が設置されました。今回は当イベント会場であるサワラギヤに、稲垣元則氏の映像作品が夜通し上映されると言う形で、街中に作品が設置されています。いわゆる既存のアート展示空間で作品を見せるのではなく、社会へ接続を試みている「HUB-IBARAKI ART PROJECT」ならではのバトンが繋がれているように思います。2017年から2018年、そして未来へ….お二人による制作と展示にまつわる表も裏もお話しちゃう?トークセッション。

茨木芸術座談会

日時|6月2日(土)17:00-19:00
会場|茨木市役所南館8階(駅前三丁目8−13)
ゲスト|
稲垣元則(HUB-IBARAKI ART PROJECT 2017年度選定作家)
中澤てるゆき(美術家、美術教授、グラフィックデザイナー、「現代美術ー茨木2018展」実行委員)
仲摩洋一(第45回現代美術ー茨木2018展特集作家)
松本誠史(第45回現代美術-茨木2018展特集作家)
藤本聖美(SOUーJR総持寺駅アートプロジェクト)
前田裕紀(前田文化・管理人)

茨木の芸術・文化を活動主体にしている団体や個人をゲストに招き「茨木・芸術文化・未来」をテーマに座談会・交流会をします。
「HUB-IBARAKI ART PROJECT2017-2018」は、当イベント会場でもあるサワラギヤ(民間店舗)に、稲垣元則氏の映像作品が夜通し上映されると言う形で、街中に作品が設置されています。いわゆる既存のアート展示空間で作品を見せるのではなく、社会へ接続を試みています。
第2弾イベントの座談会・交流会では、長い年月茨木の芸術・文化を支える団体から、新たな方法を模索し活動する若手団体まで、あらゆる視点から茨木の芸術・文化を話し合える場になればと考えております。
交流会では「まちづくりとアート」について、お客様とともに考えていける機会となればと思っております。

アートナイトツアー

日時|7月21日(土)19:00-20:40
ルート概要|JR総持寺駅→JR茨木駅→サワラギヤ→茨木市役所→東中条東公園

茨木のまちに設置されている作品たちは、夜の間どのような様子なのだろう?
そんな疑問からみんなで夜間にアートを回遊する企画を開催します!
第3弾イベントのIBARAKI ART Night Toursは、茨木市内に設置された作品を夜間に回遊する企画です。本年度展示作品が夜間限定公開であることから、他作品群の夜の様子への好奇心で始まった企画です。参加者の皆様とともに、普段「見えない・知らない時間」の作品の様子をこっそりと見に行きたいと思います。

ART アート ART

日時|9月22日(土)16:00-18:00
会場|サワラギヤ(駅前4丁目2-31)
ゲスト| 福元 崇志(国立国際美術館研究員)

国立国際美術館研究員の福元崇志さんをお招きし、選定作家の稲垣元則さん、本プロジェクト関係者と共に様々なアートのカタチについて考えるトークイベントを開催します。
HUB-IBARAKI ART PROJECT 2017-2018の締めくくり、そして次回のプロジェクトに繋がるようなトークが展開できればと思います。そして、参加されるみなさまと共によりアートを面白く・楽しく感じる時間になれば幸いです。

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ABOUT

HUB-IBARAKI ART PROJECT

「HUB-IBARAKI ART PROJECT」は、「継続的なアート事業によるまちづくり」を目的に、大阪府茨木市で実施するアートプロジェクトです。茨木市に暮らす人々が、アート作品・作家との交流を通して、アートの本質的な魅力である「表現の豊かさ/美しさ」「探求心」に触れて、その体験をそれぞれの日常の中へ還元していくことのできるアートプロジェクトを目指します。